まずは、社員選手としてどのような生活を送っていたのかをご紹介します。
私は明治大学を卒業して、2006年に「NTT東日本」にラグビー部枠で入社しました。
当時は社会人リーグの2部に所属していました。
※1部はトップリーグと言って、リーチ マイケル選手がいる東芝や、松島幸太朗選手がいるサントリーなどが所属しています。
トップリーグでやっていく自信はありませんでしたから、その下のリーグを見ていました。
NTT東日本を選んだ理由はこの2つです。
- 仕事をフルタイムでできる(プロじゃない)
- 自分のラグビーのレベルにマッチしている
有名な会社で仕事ができて、ラグビーもできるって最高だなと思いました。
入社後は、八王子エリアでインターネット回線を売る営業を担当。
終日仕事をして、夜7時半頃からラグビーの練習をする生活でした。
平日3回+土曜日で週4回の練習だったと思います。
仕事もラグビーも全力でできる!
すごく充実した社会人生活でした。
ラグビー部員の仕事ぶりは会社からも高く評価されており、先輩方の活躍の噂もよく聞いていましたし、私もエリア表彰を数度受賞しました。
仕事もラグビーも良く頑張るやつら、として職場の皆さんも本当にラグビー部を応援してくれました。
職場の方々が見に来てくれる試合は、本当に気合が入ったものです。
チームの変革
入社して2年が経ち、同じNTTグループの「NTTコミュニケーションズ(NTTコム)」にチームが移管することが決まりました。
NTTコムでは当時、個の利益を優先するマインドが強かったようで、チームワークを強めるべく、社員が共通して応援する「何か」を作りたかったのだと。
移管する前にそのように伝えられました。
その「何か」に、我々ラグビー部に白羽の矢が立ったのです。
ラグビー部、うちに来なよと。
当時の社長がラグビーが好きな方で、部員を本当に可愛がってくださいました。
我々に与えられたミッションは、
3年以内に1部(トップリーグ)に昇格すること
その目標に向けて、実に素晴らしい環境を作っていただきました。
- ラグビー部の強化費が激増
- クラブハウスの新設
- 人事部内にラグビー専門のスタッフチームができる
- 外国人コーチを複数人招へい
- トレーナーが複数人常駐
- 移籍してくる選手が元日本代表や元オールブラックス
- 仕事は短時間で終わり、午後はたっぷりトレーニング
このように、環境と生活スタイルはガラリと変わりました。
ラグビーに集中できる最高の環境が揃った一方で、
「え!フルタイムで仕事できなくなるの!?」
そんな不安もありましたが、
こんな恵まれた環境でプレーできる機会なんて恐らくこの先無いし、思いっきりやってみよう!
そう気持ちを切り替えて取り組んでいました。
NTTコムとしての初シーズンのポスター。ボールが怪しく光ってます。
選手たちは全員、総務や人事といったバックオフィス系の業務を担当することとなりました。
半日勤務という時間の都合をつけやすいためです。
半日しかいない社員にお客さんつけれませんし。
外国人選手はみなプロ契約でした。
いわゆるオフィスでの仕事はありません。
ラグビーのパフォーマンスが報酬の成果基準となります。
そうした強化が順調に進み、見事我々は
3年目にして1部への昇格を決めました。
まさか自分がトップリーガーになるとは…
昇格した後、私は2年間プレーをして引退しますが、
この2年間が、人生史上最もラグビーが上達した期間でした。
人はチャレンジングな環境に身を置くと成長できるということを、改めて感じました。
たった2シーズンでしたが、
日本のラグビーの最高峰でプレーしたという事実は、私の誇りです。
東芝戦のあと。相手にはリーチマイケル選手や廣瀬俊朗さんがいました。
次回は、いよいよ訪れた
戦力外通告
についてご紹介します。
なんで引退したの?怪我?などと聞かれて、
「29歳の時に戦力外通告を受けたんですよー。」
と伝えると、一気に空気が悪くなちゃう、あれです…。