ここが変だよ!体育会系!アスリートのセカンドキャリアを考える

軍隊の上下関係

先輩の言うことには逆らえない…

監督が怖い…

合宿と練習で終わる夏休み…

などなど。

いわゆる体育会系のイメージです。

トップオブトップのアスリートは、

そのスポーツに関わり続けて、引退後も食べていけると思いますが、

多くのアスリートはそこまでたどり着きません。

どこかでその競技を諦めて、次の人生を歩んでいきます。

日本のスポーツ界では長いこと

「アスリートのセカンドキャリア」が問題視されていますが、

私はこの「体育会」の慣習にこそ、問題の根源があんじゃないかと思っています。

子供の頃から28歳まで

ガチンコの体育会(ラグビー部)で

生きてきた経験から、

体育会という日本独特の社会における

摩訶不思議な慣習や考え方に

個人的に思うところを書いてみました。

スポーツだけやってればいい

なんかこう、

体育会は勉強しなくても大丈夫

競技だけに集中しよう

って雰囲気がありませんか?

その空気が脈々と後輩たちに受け継がれていくので

例えば大学だと、

いかに楽に単位を取れるか?

が授業を選択する際のポイントになっていたりします。

どんな授業なのか調べたり、

面白そうな授業を探してみる、

といったことを最初から放棄してしまっています。

※今はかなり改善されているんじゃないかと思いますが。

若いうちに幅広い学問に触れることは、

広い世の中について知ることや

興味のある事と出会うきっかけになります。

数学の勉強から、統計学の面白さに気が付くかもしれませんし、

世界史の勉強から、他国との外交に興味を持つかもしれません。

文章を書いたり、考えを言葉にしたりすることは、

頭の中で情報を整理する練習にもなるでしょう。

夏休みに旅行でもしてみることは

新しい文化や食事、歴史に触れることとなります。

それを

アスリートはスポーツだけに集中するんだ!

というのはおかしな話です。

スポーツ以外の可能性を、グッと縮めてしまっています。

女性アスリートで言うと

化粧してる暇があるなら練習しろ!

っていうよくわからないものもありますね。

私はNTTComの社員選手だった頃、

仕事の量をもっとこなしたくて先輩に相談したところ

「柏原君はラグビーにだけ集中してくれればいいよ」

「仕事のことは我々に任せてくれて大丈夫だよ」

と言われたことがあります。

頭を抱える人

先輩もよかれと思って言ってくれたと思うのですが

これでは引退後に

ラグビーしかできないおじさん

になってしまうんじゃないかと心配になりました。

決して学校の成績や、会社の業績が優秀であるべき、と言っているのではありません。

長い人生を生きていく上で、

若い時代をスポーツだけで過ごしてしまうのは

もったいないような気がします。

過度な上下関係

軍隊の上下関係

昔は

1年奴隷、2年平民、3年天皇、4年神

みたいな言葉があったと思いますが、

今でも下級生に対するパシリとか、

連帯責任の罰とか

あるんでしょうか?

私が大学生1年生の頃、ラグビー部には

『1年生は上級生に何か頼まれたら「はい」「いやちょっと…」しか言ってはならない』

という謎ルールがありました。

明確に断ってはいけないんです(笑)

「上級生に自分から話しかけてはならない」

というものもありました。

上級生に話しかける必要があれば、

上級生の近くに行って「なに?」と言われるのを待つのです(笑)

これでは、将来社会人になったとき、

目上の人に意見を言えない人間になってしまいます。

毎朝4年生を起こすのも、1年生の仕事でした。

朝の集合に遅刻する4年生がいると、

ちゃんと起こさない1年生が怒られました。

あの時の4年生は、

社会人になってから自分で起きれたんだろうか?(笑)

こういった意味のない慣習は

私が2年、3年となるにつれて無くなっていきました。

笑い話としてお酒の席でのネタにはなりますが、

自分の糧になったかと言えば、そうとは思えません。

先輩は自分より若い後輩たちの面倒を見る

面倒を見てくれる先輩だから、後輩から慕われる。

というのが健全な形ではないでしょうか。

とにかく怖い監督

やっぱり監督という立場になると

選手を支配したくなるのが人間なのでしょうか。

「何回言ったらわかるんだよ!」

「やれよ!なんでやらないんだよ!」

などと、怒りの感情をあらわにしてしまうこともあると思います。

こうした環境に長くいると選手は、

理解してないのに「はい!」と返事をしたり

わからないことを監督に質問できなくなってしまいます。

社会人になっても

年齢が上の人に意見を言えない

意見はせずに決まったことを裏でコソコソ愚痴る

といった習慣が身についてしまうのでは。

なにかインシデントが起きても

怒られること事を恐れて報告せず、

それが重大事故につながってしまったり、

「監督に怒られないようにすること」が

行動の目的になってしまったり…。

怖い監督でも短期的に強いチームは作れるのかもしれませんが、

本当の意味での良い組織作りだったり、

よい人材育成を実現させるのは

難しいのではないでしょうか。

引退したら職場に恩返し

現役時代お世話になったメンバーに

リスペクトの気持ちを持って一生懸命働くことは

もちろん当然です。

ただ、それを恩返しと感じて

「ラグビー現役時代は職場の人が色々助けてくれたから、

引退したら一生懸命働いて恩返ししなきゃ!」

というのは少し違うのかなと思います。

現役中は、仕事もラグビーも一生懸命やる。

それが社員選手の役割だし、

会社から与えられたミッションです。

会社で色んな人が助けてくれている分、

自分は感謝の気持ちを持ってグラウンドで精一杯練習に取り組む。

これでよいのではないでしょうか?

これでフェアだと思います。

過度に恩を感じてしまうと、

その職場や組織を離れることに後ろめたさを感じてしまいますし、

いったいいつになったら恩返しは終わるんでしょうか?

引退したら、変にへりくだったり、

恩を返さなきゃと背負いこんじゃったりせずに、

自分のやりたいことを堂々とやれば良いと思います。


個人的には「体育会系」という言葉が好きではありません。

ここに挙げたような慣習があったからです。

ただ、スポーツをやってきた人間は

チームワークが得意だったり

自分を極限まで追い込むことができたり

逆境に強かったり

そういった能力に長けた人間が多いと思います。

体力があるという単純なことも、

ビジネスの現場で意外と活きたりします。

「アスリートのセカンドキャリア」は

スポーツ界の課題として長いこと挙げられていますが、

スポーツをやりながらも、

様々なことに興味を持って取り組む文化と空気を作ること

が一つの解決策なんじゃないかと思っています。

社会人だって、将来のために英語や資格の勉強をしたり、

副業に取り組む人だっていますし。

これは人によって差があると思いますが、

私は引退して会社員生活になってからよりも、

選手現役時代の方が、

自由な時間が多くありました。

この時間に何をするかだと思います(過去に自分に言ってあげたい…!)

引退してから考えるのではなく、

スポーツをやりながら、様々なことに可能性を感じながら

キャリアを重ねていく文化が作れればいいなと思っています。

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