本物のプロを見た。金メダルをのがした翌日の吉田沙保里さんの立振る舞い。

2015年ラグビーワールドカップの仕事が終わってしばらくすると、

2016年には、オリンピック・パラリンピック関連の仕事に関わるチャンスがやってきました。

取り組む領域は多岐に渡りましたが、

私はSNSのパートを担当しました。

「スポーツ × SNS」

がわかる人間として、このチームにアサインされたのです。

前回の記事で、2015年のラグビーワールドカップの件についてご紹介しましたが、

この経験が、今回の仕事につながったんですね。

スポーツがやりたいという事も、言い続けていました。

リオ大会期間中の私のミッションは、

2016年大会を通じて、2020年の東京オリンピックの機運を高める

というもの。

具体的な仕事の内容は、大きくこの三つです。

  1. メダリストへの質問をファンからTwitterで募集して、メダリストに答えてもらう
  2. メダリストの記者会見をFacebookライブで配信する
  3. オリンピックが開催されている都市の雰囲気をSNSで伝える

大会が始まる前にブラジルに渡り、

合計3週間、リオデジャネイロに滞在しました。

大会が始まると、日本代表は毎日のようにメダルを獲得。

我々はメダリストへインタビューすることが必須の業務でしたので、

もう大忙しの毎日でした。嬉しい悲鳴。

結果このリオ大会では、日本のメダル数は41個と史上最多を更新したんですね。

それは忙しくなるわけです。

地球の裏側から記者会見をFacebook LIVEで。
質問を募集して…
選手が答えるという内容

テニスの錦織選手を除く40名の選手に、手分けしてインタビューをしました。

※ 錦織選手は、メダル獲得後すぐに全米オープンに飛び立ってしまったんです。大忙しの錦織選手。

JOCの方の言葉と吉田沙保里選手の振舞い

リオ五輪の中でも大きなニュースとして報じられたのが、

金メダル大本命と言われた吉田沙保里さんが敗れたこと。

4連覇を狙う吉田選手が、24歳のアメリカの選手に決勝で敗れたんです。

表彰台でも涙が止まらず、記者からの質問でも

「取り返しのつかない事になってしまった」

「申し訳ありません」

と涙でお詫びの言葉を続ける吉田選手。

https://www.nikkansports.com/olympic/rio2016/wrestling/news/1696973.html

銀メダルでもありえないくらい凄いのですが、

金メダルだけが彼女の目標であり、その圧倒的な責任感の強さが感じられました。

同時に、こんな不安がよぎりました。

「これは、明日のインタビューどうしよう…」

「吉田選手、Twitterのインタビュー企画に協力できるような心理状態にないだろうな…」

そんな不安を払拭してくれたのが

JOC(日本オリンピック委員会)広報担当の方からかけて頂いたこんな言葉です。

勝てばたくさんの人に祝福されるが、負ければメディアからもまったく注目されない。

勝負の世界はそういうものです。

選手たちも知っています。

ですからみなさんは、負けた選手に変に気を遣う必要はありません。

やるべき仕事をきっちりやってください。

この言葉のおかげで、

すごく前向きに仕事に取り組むことができました。

そして翌朝、吉田沙保里選手が会見場にやってきました。

昨日の涙の様子とは打って変わって、表情は穏やか。

記者からの質問にも、時折笑顔を見せながら対応していました。

あの敗退からまだ一晩。

ほんの数時間しか経っていないのに。

これこそが、本当のプロだと思いました。

負けた悔しさをグッとこらえて、

メディアの向こうにいるファンやスポンサーに対して、

応援してくれたことへの感謝をきちんと伝える姿勢。

我々のインタビューにも、笑顔で応じてくれました。

これぞ、オリンピックで3度金メダルを獲得している本物のアスリート。

お手本になるような立ち振る舞いでした。

支えてくれる人の存在と自分との関係をちゃんと理解されているのだと思います。

その時の様子がこちら↓↓

五輪は文化の祭典

リオに滞在した3週間では、

こうした競技にフォーカスする仕事以外にも

街の雰囲気を取材すべく、様々なスポットに足を運びました。

あまり知られていませんが、

オリンピックはスポーツの祭典であると同時に

文化の祭典でもあります。

これが、とっても楽しいんです。

街では、オリンピックに参加する様々な国の文化を体験できる施設が

あちらこちらに用意され、

今日はドイツのご飯を食べに行こう!

明日はジャマイカのお酒を飲みに行こう!

土曜日はフランスのスポーツをやりに行こう!

そんな楽しみ方が、連日できちゃうんです。

こうした施設の件は日本のメディアでもほとんど報じられていないので、

次回の記事にてご紹介したいと思います。

続く

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